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音声活用ブログ

21世紀に入ってから、感情と意志決定の関係を論じた心理学の論文数が急増しています。

2020.08.20

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4 感情と意志決定(1)

21世紀に入ってから、感情と意志決定の関係を論じた心理学の論文数が急増しています。今回はこれについて考えてみることにします。

2015年に発刊された米国心理学会の論文Annu. Rev. Psychol. 2015. 66:799-823 ‘Emotion and Decision Making’ 「感情と意志決定」によれば21世紀に入ってから意思決定理論に関して感情をあつかった論文の数が非常に増えており、2000年の論文数と2013年を比較すると何と100倍程度になっています。(図を参照して下さい。横軸は年を左縦軸は論文数、右縦軸は意思決定に関する論文の中で感情を扱った論文の割合です。いかに感情に関する注目が向上しているかが分かります。この論文によれば、感情は人間の意思決定プロセスに大きく関係していることがわかってきており、感情が解ればその人の意思決定傾向を予測する事が可能で、これを利用すればマーケティング効果を高め、顧客へのサービス品質を高めることが可能になります.

 

ハーバート・サイモン(大組織の経営行動と意思決定に関する研究で、1978年にノーベル経済学賞を受賞)は1983年に「人間合理性の理論を確立する為には感情がどのような役割を果たしているかを理解しなければならない」と言っています。しばしば人間の意志決定は非合理的とも思われる事がありこれは意思決定に感情が大きな要素になっている事を示唆した発言です。現在、感情研究は心理学、行動経済学、ニューロサイエンスや人工知能の分野まで広がっています。その応用範囲の可能性は広く、マーケティング、組織行動、ロボット、政策立案、経営戦略、等の分野に拡がっていくと考えられます。

 

人間の感情表現は発汗、呼吸数や心拍数などの生理現象、表情、音声、等、種々あります。感情には自分の意志で制御する感情表現(随意感情)と制御し難い感情表現(不随意感情)があります。不随意感情がわかれば、人間行動を予測する精度が高まると期待されます。音声情報は他の感情表現に比べてきめ細かく不随意感情の情報を取得することが出来、音声感情解析が他の感情表現解析よりも重要な理由になっています。当社は感情を扱ういろいろなビジネス分野に音声感情解析を通じて貢献を続けたいと念じています。

 

次回のブログでは上述した論文「感情と意志決定」の内容概要を紹介したいと思います。

 


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