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音声活用ブログ
処方した薬や医療材料の量、処方を過大に記載して保険会社に不正請求する事案を検出するソリューション
2023.11.07
Nemesysco社不正防止保険金詐欺お知らせ
61 ビジネスで音声感情解析システムはどのように使われるのか(連載8) 《医療機関での不正申告の検出》
当社の提携先であるイスラエルのネメシスコ社で不正防止エキスパートをしているMauro.N氏が最近(2023年10月31日)投稿した記事によると、海外の医療機関で、処方した薬や医療材料の量、処方を過大に記載して保険会社に不正請求する事案を検出するソリューションを、音声感情解析テクノロジーを用いて開発したとのことです。少し内容を紹介したいと思います。
Quantity Fraud(数量詐欺)医療機関の不正
日本と海外では医療制度が異なりますから、保険会社と病院との関係性は異なりますが、多くの国では診療報酬は保険会社が病院に支払います。患者に対して医療処置内容を決めるのは病院であり、その病院は患者が加入している医療保険会社に対して診療報酬の請求を行い、支払いを受けます。日本では病院の請求先は保険会社では無く、準公的な社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などの審査支払機関となります。
ここで問題となっているのが、診療した病院が保険会社に対して不正請求を行うケースです。処方した薬や医療材料の量、処方を過大に記載して保険会社に不正請求する事案でQuantity Fraud(数量詐欺)と言われます。不正請求により保険会社は不当に過大な診療報酬を病院に支払わなければならず金銭的な被害を受けます。この不正の悪質性は患者に被害が及ぶことです。患者に対して実際に処方した薬剤の種類や量と保険会社に請求した内容が異なっているのでは無く、実際に患者に不必要に高額な薬剤を投与したり、薬は2錠で十分なのに3錠投与するなど、まさに医療詐欺の行為です。
これは日本では審査機関がしっかり審査しますし、医療機関の道徳性が高いので問題になることが少ないと思われるのですが、世界を見渡すとこのような行為は珍しくないようです。
Voice Screenによる不正の検出
Quantity Fraud(数量詐欺)のような詐欺的な行動を検出する方法として、ネメシスコ社で開発したVoice Screenを用いるとMauro.N氏はそのブログで述べています。これは音声周波数領域での発声バイオマーカーの解析により不正申告と不規則的感情を検出し、数量詐欺の兆候を識別する有益な知見を与えます。
このシステムは次のように動作します。
-
- 保険会社は医療機関から診療報酬支払の請求が来ると、担当者がシステムに請求書類を書いた医師の携帯電話番号と、請求事案のタイプ(事故、病気の種類、等)を入力します。
- システムは自動的にその医師にWhatsApp(日本で使われるLINEとほぼ同じ)で電話します。
- その電話で、システムが事案のタイプ別にあらかじめ用意された質問を医師に行います。(この質問は過去の診療報酬請求事案から作り出されたもので過去のノウハウが詰まっているようです。もしも医師が不正を働いているなら感情的な動揺を引き起こすような質問をシステムが生成して投げかけます。)
- 肝心なことは、この質問に対して声で医師から回答してもらうことです。回答音声は通話記録として録音されます。
- 得られた音声録音は人手を介することなく、システムが自動的ほんの数秒で解析します。システムはその音声から感情解析を行い、答えた医師がストレスを感じているか、感情的な不規則さを内包しているかなど、数量詐欺の可能性のある兆候を検出します。
- もし、その兆候が検出されれば、その請求にアラームフラグを立てて、詳細な調査を専門家が行います。もし兆候がなければ、支払い手続きにそのまま移行します。
このように高度な音声解析技術を持つVoice Screenは、保険会社に詐欺行為撲滅のための強力なツールを提供します。声を解析してストレスや感情のパターンを検出し、不正検出プロセスを合理化する機能により、保険会社は効率性、正確性、そして不正行為に対する対処力を高めることができます。Voice Screenを活用することで、保険会社は患者さんのために適切で必要な医療を確保しながら、数量詐欺を効果的に特定し、業務を保護し、保険業界の健全性を維持することができます。
日本での適応
医療機関が不正を働くことを検出するシステムと聞くと、医療機関に対する信頼度の高い日本ではあまりなじみがないかもしれません。しかし、厚生労働省の調査によると、
不正請求事案件数
2021年度 1,271件
2022年度 1,347件(前年度のから約6.5%増加)
不正請求金額
2021年度 約122億円
2022年度 約126億円(前年度の約から約3.2%増加)
であり、決して諸外国の話として済ませるような状況ではありません。今後このようなシステムの導入が必要になるようにも思えます。
当社ではこのシステムを日本で販売する予定は当面ありませんが、諸外国での事例は常にウオッチして、同様のシステムを今後ともご紹介したいと考えております。
ご興味のあるかたはお問合せください。
以上
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