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音声活用ブログ

自動車盗難事件と音声感情解析との関連

2023.11.26

Nemesysco社保険金詐欺テクノロジーマーケット

62 ビジネスで音声感情解析システムはどのように使われるのか(連載9) 《自動車盗難保険事件》

前回のブログでもお伝えした、当社の提携先であるイスラエルのネメシスコ社で不正防止エキスパートをしているMauro.N氏の最新の投稿に自動車盗難事件と音声感情解析との関連を説明した記事が出ていましたので紹介したいと思います。

 

今年の7月に発覚したビッグモーター社の事件は自動車保険制度に対する信頼をゆるがす大事件です。自動車保険の事故車の修理を請け負う際に、故意に傷をつけたり、不必要な部品交換をしたりするなどして、修理費用を水増ししていたとのことです。これの事件の背景は、経営陣によるコンプライアンス意識の欠如があり、従業員が過剰なノルマ達成のためにやむを得ず不正行為を行うことを半ば黙認していたと報道されています。

再発防止策として企業の内部統制の強化や、従業員へのコンプライアンス教育の徹底などを行うと報道されていますが、人間の善意に期待した防止策で、筆者の長い組織人としての経験では、これらの対策が本当にどれほどの効果があるのかは疑問符がつくとことろです。もっと効果のある対策が必要なのではないでしょうか?

それでは、効果のある対策とは何か。ずばり「音声感情解析テクノロジーの導入です。」Mauro.N氏の投稿に、外国での自動車盗難保険詐欺と音声感情解析を用いた対策についての記事がありましたので紹介したいと思います。

 

 

解体目的の中古車販売詐欺(Fraud in the Sale of Cars for Dismantling)

 

 

日本では余り聞きなれない言葉ですが、外国(米国など)では、所有する車両を解体する目的で(不正規の)解体業者に販売し、自身の所有する車両が盗難されたと保険会社に申請して保険金をだまし取る手口の詐欺行為のことを言います。通常は申請者自身が居住する州では無く、近隣の州にある不正規業者に販売して、盗難車の追跡調査がされにくくするのだそうです。これは明らかに詐欺行為であり、犯罪です。

日本でもこのような不正自動車盗難事件はあるにはありますが、事案数は少なく、裁判になるとニュースになる程度の事案件数しかありません。日本ではなかなか考えにくい詐欺行為で、解体目的の中古車販売詐欺は海の向こうのどっかの国の話で済まされていました。

しかし、盗難ではないものの、ビッグモーターが行った行為は明らかに詐欺行為であり、犯罪で、解体目的の中古車販売詐欺と同根の許されざる行為です。これを根治する対策を講じなければ損害保険制度そのものに対する信頼は大きく揺らぎます。

 

 

Voice Screenによる不正の検出

 

前回のブログで、医療機関での不正を検出するシステム、ネメシスコ社開発のVoice Screenを紹介しました。このシステムは自動車保険業界でも使われています。これは音声周波数領域での発声バイオマーカーの解析により不正申告と不規則的感情を検出し、自動車保険詐欺の兆候を識別する有益な知見を与えます。

このシステムは次のように動作します。

 

① 保険会社は自動車盗難保険の請求が来ると、請求者と保険会社が電話や面談で直接話をします。電話や面談会話は記録されます。

 

② その電話で、自動車盗難保険に関するあらかじめ用意された質問を請求者に行います。(この質問は過去の請求事案から作り出されたもので過去のノウハウが詰まっているようです。もしも請求者が不正を働いているなら感情的な動揺を引き起こすような質問を投げかけます。)

 

③ 得られた音声録音は人手を介することなく、システムが自動的にほんの数秒で解析します。システムはその音声から感情解析を行い、答えた請求者がストレスを感じているか、感情的な不規則さがあるかなど、保険金詐欺の可能性のある兆候を検出します。

 

④ もし、その兆候が検出されれば、その請求にアラームフラグを立てて、詳細な調査を専門家が行います。もし兆候がなければ、支払い手続きにそのまま迅速に移行します。

 

 

このように高度な音声解析技術を持つVoice Screenを使えば、保険会社は詐欺行為撲滅のための強力なツールをもつことになります。また、保険金請求審査の一連のプロセスの中に声による感情解析をルーチンとして組み込んでいるそうです。

 

 

日本での適応

 

警察庁の資料によれば、日本では2021年の自動車盗難認知件数は約5500件、日本損害保険協会の資料では保険請求件数は、1,453件です。米国のFBIの資料では米国の自動車窃盗件数は年間約90万件とのことですから、わが国では極めて自動車窃盗の数が少なくなっています。これは喜ばしいことで、従って保険金詐欺の数も少なく保険会社も詐欺(不正申告)対策には余り力を入れてこなかったのだと思います。

しかし、ビッグモーター事件で状況は一変しました。保険代理店が(ひょっとしたら保険会社も承知の上で)不正をするとは信じられません。一般の保険金を払っている被保険者はもっと声を大にして原因の徹底追及と再発防止策を求めるべきでしょう。

日本の保険会社は上述したVoice Screenの導入も真剣に検討していただきたいと思います。また行政機関も保険代理店が保険会社に保険請求するときや被保険者に保険の説明をするときは、必ず音声記録を残し、その音声の感情解析結果を提出することを義務付ける法的措置の検討も是非お願いしたいところです。


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