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音声活用ブログ
保険金虚偽申告の検出ソリューションInTone.ai.Risk
2023.07.11
Nemesysco社コールセンターお知らせテクノロジーマーケット
55ビジネスで音声感情解析システムはどのように使われるのか(連載3) 《保険金請求審査》
我々の提携先であるイスラエルのNemesysco社は音声による虚偽申告の検出に20年以上の経験があります。同社の最新ソフトウエア製品であるInTone.ai Riskはその知見を活かして保険金不正請求を検出するソリューションを提供しています。このブログでは2回に分けてこのソリューションについて解説します。
イライラする保険金請求
盗難や紛失時の補償をする保険、自動車事故時の修理代の補償、など、保険会社のコールセンターにはさまざまな保険金請求の申告が来ます。その請求の根拠となる証拠が十分であれば、支払い側も受け取り側もスムーズに事務処理ができるでしょうが、実際はそのようにはいかない場合が多々あります。筆者自身は10年ほど前に海外出張先でスーツケースのひったくりに遭遇してしまい、盗難物の保険金請求をしたのですが、そのスーツケースの中に何が入っていたか、その金額は正確には思い出せなくて苦労しました。盗難に合い、ただでさえイライラしているところに海外で地元警察に出向いて身振り手振りで状況説明して神経を使い、さらに保険会社に電話して事情を説明してなかなかこちらの意図が伝わらず、「その請求金額は正しいですか?」のような疑いを持った(としか思われない)保険会社側の質問口調にさらにイライラするという体験をしました。まさに感情の高ぶりの渦中に巻き込まれました。
保険金不正請求は米国では年間5兆円
保険大国である米国の連邦捜査局(FBI)の最新調査では、保険金詐欺の被害額は米国全体で年間400億ドル(約5兆円)もあり、それにより世帯当たり年間400ドルから700ドルの負担がかかっているとのことです。また、非営利団体であるNational Insurance Crime Bureau (NICB 米国保険犯罪局)の2016年の資料によれば保険金請求の10%程度が不正請求だとのことです。日本では2018年度の保険金請求の2.8%が不正であったと金融庁レポートに記載されています。米国よりもかなり低い割合ですが、それでも大きな金額になります。保険会社の立場に立ってみれば不正請求を発見するのは会社の利益に直結する重要な仕事ですから、保険金請求の審査は厳しくせざるを得ません。
イライラする顧客と不正請求を見破ろうとする保険会社の担当者
ここでコンフリクトが生じます。保険金請求側からすれば、保険会社の担当者からつべこべ言われないで請求手続はなるべく早く済ませたい、一方保険会社からは慎重に不正請求がないかどうかを調べたいからいろいろ聞きたい。請求側は被害にあって感情的にイライラしており、保険担当者側もそんなイライラに付き合うのは苦痛でしょう。
海外ではお客に対して店員は必ずしも丁寧な対応はしません。海外のマクドナルドで店員が笑顔ひとつなく全く機械のようにお客に対応するのを何度も見かけていますし、私自身もそのような体験を何度もしています。保険金請求でも同様で、保険会社の係員が機械のように対応しても請求側も慣れっこになっていて大問題にはなりません。
ところが過度なお客様第一主義が暗黙的に要請される日本ではこうは行きません。保険会社の係員の対応が機械的ですと、ただでさえイライラしている顧客側(保険金請求側)は怒り出すこともあるでしょう。
海外では保険金不正を請求者の音声から検出するソリューション事例はたくさんあるのですが、日本では関心を持ってくれてはいても実際の導入には至っていません。この原因の一端は上記の対応の違いに起因していると思われます。
「不正を検出する」ことよりも「不正でないことを検出する」
今まで、保険会社が不正請求と疑わしい事案を検出するためには検出の為の「マニュアル」を整備し、担当者をトレーニングしていました。現在もこの手法が一般的です。これは不正検出という観点からは効果的かも知れませんが時間がかかります。イライラの原因は結局のところ不正かどうかを調べる時間がかかることです。顧客と保険担当者の双方のイライラを無くすソリューションを作るにはこの時間を短縮することが極めて重要です。ここでNemesysco社は「不正を検出する」ことよりも「不正でないことを検出する」ことに重きを置くと言う発想の大転換をしたのです。不正でないことが分かればその後の保険金請求の事務手続きにすばやく入れますし双方のイライラも収まります。顧客満足度も上がります。
Nemesysco社の詐欺ソリューションエクスパートのMauro N.氏によれば、同社のアプリであるInTone.ai Riskは驚くべきことに95%の正確性で不正申告を見つけることができるとのことです。それもほんの数秒から数十秒間の会話をリアルタイムに分析することで怪しいかどうかがわかります。ですから怪しくないと分かった申告者はそれ以上の調査を行わずさっさと保険金支払いを行い、迅速に手続きを進めます。怪しいと思われる会話は、すぐに不正申告検出の専門家に会話を引き継ぎます。この専門家は特別に訓練を受けた人で、不正申告かどうかを徹底的に調べるために、会話シナリオを変えて、「この申告内容がもしも不正な内容であるとわかると警察沙汰になるかもしれない」と申告者に警告して会話を進めます。こうすると不正申告者は申告を取り下げることがしばしばあるそうです。しかし、実際は不正申告をしていない人にこのような警告をすれば、その保険会社の評判は地に落ちます。従って余程精度が高くない限りこのような専門家に会話を引き継ぐことは出来ません。一般的な音声感情解析ソリューションではまず無理でしょう。我々の印象ではNemesysco社のソリューションのみがこれを可能にしています。
ストレスが強い感情環境下の会話でなぜ不正申告を検出できるのか?
前述しましたが、保険金請求をする人は通常強いストレス環境下に置かれています。盗難や事故に遭ってイライラしていますし、悲しみや後悔の感情も強いと思われます。このような環境で保険会社の係員への回答音声から感情を読み取ってこの人が真実を語っているのかどうかを判断するのは極めて難しく、高度な感情解析テクノロジーが必要です。
このため、Nemesysco社のアプリであるInTone.ai RiskではLVAという高度な感情解析テクノロジーが使われています。(そのテクノロジー概要はブログ1とブログ2で解説していますので興味のある方は参照してください。)LVAの特徴は音声から約50個の感情要素(ストレス、興奮、後悔、悲しみ、エネルギー、思考、自信、不満、集中、期待、怒り、躊躇、など)を数値で表現できることです。50個もの感情要素をデジタルに出力できるテクノロジーは世界中にLVAしかありません。さらにLVAの他社製品には無い特長は「Anticipation(期待とか予期とかと訳されます)」と「hesitation(躊躇とかためらいとかと訳されます) 」の感情要素を数値化できることです。Anticipationは予め決めた筋書き通りに話していると自分が認識している時に出る感情要素で、ストレスや怒り、後悔などの他のの感情とは独立に出力されます。またhesitationは「こんなこと言って大丈夫かな?」と不安に感じつつ話している時に出る感情要素でこれも他の感情とは独立に出力されます。保険申告者のこれらの感情要素の時系列変化を観測しNemesysco社独自の数学的な処理をすれば95%の確率で不正申告を見つけることが出来ると言われています。
このような仕組みで、Nemesysco社のInTone.ai Riskソリューションはストレスが強い感情環境下の会話でも不正申告を検出できるのです。
次回のブログでは海外事例ですが、実際の事例を紹介したいと思います。
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