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音声活用ブログ

音声感情解析を用いた人事部門のDX

2022.07.16

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35 音声感情解析を用いた人事部門のDX

今までアナログな仕事の典型とも言える人事部門にもデータに基づく科学的な活動への変革が求められてきました。今までのように勘と経験に基づいて人材を管理していたのでは企業競争力の増強は望めないからです。このブログでは音声感情解析技術を用いて人事業務を変革する背景と特長をご紹介します。

人事業務は多岐にわたり、勤怠管理、給与計算と言った事務的な業務もあれば、報酬や評価を決める為の社内人事制度の設計、採用や育成、ヘッドハンティングによる人材補強戦略の策定、従業員の離職抑止やウエルビーイング向上施策、人材配置の決定など、従来はデジタル化できないと思われていた多くの業務があります。これらのいろいろな人事業務の中で、当社が提供しているESAS HRは人の声を解析して得られる様々な基本感情要素から次のサービスを提供することが可能です。

  • パーソナリティ(人間性)診断

  • 人材の適正配置支援

  • キャリアプランの構築支援

 

ご興味のある方は弊社ホームページをご覧下さい。また、HPや電話で問い合わせを頂ければ、詳しくご説明をさせて頂きます。

 
このブログでは、まず、何故このようなシステムが必要なのかを解説し、当社の提供する感情解析技術は他社製品とは何が異なるのかについて記述します。

 
労働には肉体労働、頭脳労働、感情労働があると言われています。この中で感情労働は米国の社会学者A.R.ホックシールドが著した「管理される心 感情が商品になるとき」(2000)により知られるようになりました。これは労働者自身の感情を用い、感情を管理することにより報酬を得る職業のことを指します。ホックシールドの著書では飛行機のキャビンアテンダントや債券回収人を例に感情労働の分析を行っています。現代では第三次産業化が進み、あらゆる職業には広義の接客対応が求められるようになり、医者、教師、販売員、営業マンなどの対人が必須の職業ばかりか、システムエンジニアや公務員なども感情労働者と言えるようになってきました。いわば一億総感情労働者の時代になったのです。要するに現代社会で生きて行くためには感情表現が非常に重要になっており、感情管理なくして人事業務はあり得ないと言っても過言ではありません。

「管理される心」と著者のホックシールド博士

ホックシールドの著書では感情管理には2つの種類があると述べられています。表層演技と深層演技です。前者は下手な俳優の演技のようなもので顧客に対して自分が適切な感情を持っていると思ってもらう為に声や表情、振舞いを装うことを言い、飛行機に搭乗する際にCAが職業的な笑顔で迎えてくれる場合がこれに相当します。後者は自らの感情そのものを制御して本当に嬉しい、ほんとうに悲しいと思って顧客に接することを言います。成果を上げている営業マンは深層演技で感情をコントロールすることが上手く、顧客の喜びや悲しみに心の底から共感することが出来ます。

 
ブログ11でも述べましたが、話者が聞き手に音声で伝達する情報は言語的情報、パラ言語的情報、及び非言語的情報の3種類に分類されます。これは「藤崎の分類*」と言われています。

*藤崎の分類 東京大学名誉教授である藤崎博也氏の提言した分類方法

 

1)  言語的情報

文字により表現が可能で、話者が意図的に生成する情報です。音声から文字への変換ソフトの対象となる情報です。

 
2)  パラ言語的情報

パラと言う接頭辞は英語のbesideに相当し、周辺的と言う意味です。パラ言語的とは言語周辺的と言う意味で、文字には表現できないが話し手の意志を伝える情報のことを言います。例えば「これを下さい」という場合に丁寧に言う場合とぞんざいに言う場合があると思います。前者は聞き手に感謝を伝え、後者はいらいら感や怒りを伝えることが出来ます。俳優は演技で音質を変えパラ言語情報を伝えます。
筆者の見解では、これは上述した表層演技に対応すると思われます。

 
3)  非言語的情報

これは話者が意図的に制御できない感情を伝える情報です。不随意感情とも言われます。例えば怒りがこみ上げて来て自分の意志とは無関係に声が震えるとか、冷静に声を出そうとしてもおかしくて声が波打つようになってしまう時の情報です。
筆者の見解ではこれは上述した深層演技に相当すると思われます。

 

当社の提供する音声による感情解析ソフトESASでは非言語的情報を数値化して出力します。これは当社の音声感情解析ソフトの大きな特長です。従って、ESASでは話し手の真の感情、すなわち深層演技の感情をとらえる事ができます。

 

人事業務で必要となる感情は深層演技に対応する感情です。ESASでは「エネルギー」、「情熱」、「不安」、「ストレス」、「自信」、「集中」等の深層感情を数値化し、そこから被験者のパーソナリティー、業務特性、就業意欲、責任感、問題解決、成長意欲、行動力を数値化することができます。これらは演技した振舞いや声から導かれたものではありませんので被験者の真の人となりや人材特性を数値として出力することができます。従って、人事業務に必要な情報を提供することが可能になります。

例えば、ある海外の人材派遣会社は派遣する人の特性を本人の声からチェックし、派遣先とのミスマッチを検証して事前にトラブルを避けるよう対策しているそうです。

 

人事業務のDXはまず音声感情解析から始めてはいかがでしょうか。

WRITER

都筑 一雄

都筑 一雄

ESジャパン株式会社
エグゼクティブアドバイザー

慶応義塾大学及び東北大学大学院で物理学専攻。修士課程修了後、日本電気(NEC)に36年間勤務。製品開発、システム構築、事業部運営、欧州合弁会社立上げ等、役割は変化したが一貫して音声関連の通信事業に関与。NEC退職後は滋賀県彦根市役所の行政情報化担当特別顧問を5年間務め、退任後、ESジャパン株式会社の設立発起人として創業に関与し現在に至る。