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18 リモートワーク(在宅勤務)時代の営業活動と感情解析|音声活用ブログ

2021.07.13

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18 リモートワーク(在宅勤務)時代の営業活動と感情解析

リモートワークの時代にはお客様と直接面談する機会が減っています。そのような環境の中で営業活動を効果的に行うために感情解析システムを利用してはいかがでしょうか?このブログでは営業活動のノウハウ本によく出てくる「メラビアンの法則」の誤解を解説しながら、感情解析システムの使い方を述べたいと思います。

メラビアンの法則

 新人営業マン向けの営業研修などで使われることの多い「メラビアンの法則」ですが、誤って解釈されている面が多いようです。内容を要約すると

話し手と聞き手とのコミュニケーションにおいて、表情や仕草などの「聞き手に与える影響度は視覚情報(Visual)」が55%、声の大きさや話すスピードなどの「聴覚情報(Vocal)」は38%、会話そのものの内容である「言語情報(Verbal)」は7%である。

と言うことです。これはカリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)の心理学教授であったA.Mehrabian とM.Wienerが50年以上前の1967年に発表(1)した心理学実験の結果に基づくものです。「7-38-55」の法則とも言われます。

この結果から営業研修では

  • 「第一印象は見た目でほとんど決まる」
  • 「話の内容よりも話し方やプレゼンのジェスチャーが大事」

であると教えることが多いようです。しかし、これは間違いです。この実験は、言語、聴覚、視覚の3つの情報が互いに矛盾していた状況での(例えば、私はあなたが好きだと悲しそうな顔や暗い声の調子で言う)前提条件の下で、言語情報に感情(人の感じ方)を含む主題(好き・嫌い、楽しい・怖い、など)に関して聞き手がどの情報源を信頼するかと言うことを、見ず知らずの米国女性同士で実験した結果です。この前提条件がいつの間にか抜けてしまい、上述した誤解が世間に出回ってしまいました。メラビアン先生御自身も自分の発表した実験結果が世間で誤って解釈されていることに憂慮を示しています(2)

筆者の考えでは、メラビアンの実験結果から言えることは次の2点に要約されると思います。

  • 言語情報とその他の情報源(視覚、聴覚)との間に一貫性が無い場合には言語情報の信憑性が低下する。
  • 感情(人の感じ方)に関する言語情報に対しては視覚及び聴覚からの情報に基づき話し手の真意を判断する割合が増す。

言語情報とともに聴覚情報や視覚情報が意志伝達にとって重要であるとはいえますが、7-38-55と言う重み数値を過大に評価するのは避けたほうが良いでしょう。

オンライン営業で大切な事

ここで、リモートワークの時代におけるメラビアンの法則を考えて見ましょう。営業活動をオンラインで行う場合、日本では、画面共有機能を用いてプレゼン資料(言語情報)を画面に大きく表示し、参加者の顔は小さな窓で表示あるいは非表示とするのが一般的な使い方だと思います。これは表情や身振りなどの視覚情報が意志伝達に余り用いられていないことを意味します。日本ではこの傾向が顕著であるように思います。資料を説明する人の声とそれに対して応答する声は参加者全員が聞きますので、オンラインでの営業活動では、共有資料からの言語情報と、説明者と質問者・コメンテーターの声による聴覚情報が重要になります。

では、このような日本型オンライン営業での留意点を述べたいと思います。

1)資料説明をするとき言語情報と聴覚情報に一貫性を保つ

資料での説明箇所で聞き手に感じてもらいたいフィーリング(ポジティブ、ネガティブ、等)と話者の声の調子(ポジティブ、ネガティブ、等)の一貫性を保つことが大事です。自社や自社製品の「売り」のポイントを述べている時に、ネガティブな声の調子で説明したのでは聞き手に自社や製品に良いイメージを持ってもらうことは出来ません。聞き手の感情に訴える言語情報を伝達するときには、話者から聞き手への聴覚情報と言語情報から想起される感情を一致させることが大事です。

2)話者の話に聞き手が納得感を持って終わるようにする

以前のブログでも紹介しましたが、米国の詩人で公民権活動家でもあったマヤ・アンジェロウ(Maya Angelou)は次のように発言したことがあります。

「人はあなたが言ったことはやがて忘れてしまう、人はあなたがやったことも忘れてしまう、しかし人はあなたが感じさせたことは決して忘れない。」

筆者はこの言葉を固く信じていて、営業トークの基本はトークの最後にお客様が良いフィーリングを持っていただけることだと思っています。この為には上記1)のフィーリングの首尾一貫性が重要になります。

まとめると、

「オンライン営業では話してと聞き手の感情を一致させ、聞き手が良いフィーリングを持った状態で話を終える。」

ことが大切です。

 

感情解析を用いて話し方を鍛える

「そんなことは当たり前じゃないか、私はいつでもそうしている。」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、客観的にそうなっているかを検証した方は少ないと思います。ESジャパン社では企業紹介のプレゼンでの話者の感情推移を分析したことがあるので少しご紹介したいと思います。

下の表は、ある企業を就活生にPRする目的で説明したスピーチの話者の声から検出された感情を時系列的に検出した数値です。数値が大きいほどその聞き手に感じさせる感情要素が高いことを意味します。話者はAさんとBさんの2人です。

この2つの表からAさんとBさんの話し方を比べてみると、エネルギーを感じさせる話し方に関してはAさんがBさんより優れています。情熱や興奮もAさんの方がBさんよりも聞き手を感じさせているようです。一方ストレスはBさんがAさんよりも感じさせているようです。実際、2人の話を聴いてみるとAさんの話し方の方が最後に良い印象として残ります。このように、同じ話をしても相手に感じさせる感情はずいぶん異なります。

ESジャパンでは、このような話し手の感情を時系列的に数値化し、どのような感情要素がどのように変化するかを見出し、あるべきスピーチのスタイルにするにはどのように改善すれば良いのかをアドバイスしています。今までは「話の上手い」と言われる人にスピーチスタイルを全面的に委ねていましたが、ESジャパンの感情解析サービスを使うことにより、誰でも「話の上手い」人に鍛え直すことが出来るようになります。

ご興味のある方はESジャパンのホームページからお問合せをして下さい。

参考資料

  (1)Decoding of inconsistent communications (1967) Mehrabian A, Wiener M. J Pers Soc Psychol. 1967 May; 6(1):109-14

  (2)http://www.kaaj.com/psych/smorder.html

 

 

WRITER

都筑 一雄

都筑 一雄

ESジャパン株式会社
エグゼクティブアドバイザー

慶応義塾大学及び東北大学大学院で物理学専攻。修士課程修了後、日本電気(NEC)に36年間勤務。製品開発、システム構築、事業部運営、欧州合弁会社立上げ等、役割は変化したが一貫して音声関連の通信事業に関与。NEC退職後は滋賀県彦根市役所の行政情報化担当特別顧問を5年間務め、退任後、ESジャパン株式会社の設立発起人として創業に関与し現在に至る。