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音声活用ブログ

コールセンターの新しい潮流について

2022.10.18

コールセンターテクノロジーマーケット

41 コールセンターの新しい潮流(1)       (お客様のパーソナルキャラクターを知る)

最近、音声感情解析テクノロジーの最大の適応分野であるコールセンターの企画管理者の方々にお話を伺うと、コールセンターの新しい潮流を感じます。このブログではこの潮流を説明するとともに、当社のテクノロジーの新しい適応方法を提案します。これからのコールセンタービジネスの発展にお役に立てると思います。

最近のコールセンター事業をビジネスの観点から見ると、次の課題が浮かび上がっています。

  • コールセンター各社の差別化に限界が見え始めた。
  • コールセンターの競争力の源泉は「顧客ロイヤリティ」であるが、これを高める為には従来のDX投資では不十分であることにコールセンター経営者は気が付き始めた。
  •  特に営業系コールセンターの収益向上の為には、顧客属性を良く知ることが大切であるが、顧客属性をどのように知るかについては上級オペレーターの勘と経験に基づいているのが現状で、マニュアル化ができていない。従って上級オペレーターを増やすことが容易にできない。

 

これらの課題に対応するための取り組みについて概説します。

 

差別化の限界

いわゆるコールセンターのDXに関しては、チャットボットや音声認識システムの導入、AIシステム導入による顧客行動の予測などコールセンター各社はしのぎを削って、差別化に努めています。それはそれで効率化やコスト削減に役立ち収益向上に寄与していると思います。しかしこれは投資さえすればできることです。各社が同じようなDX投資をしていて、コールセンターの差別化に限界が見え始めているのが現状です。

 

顧客ロイヤリティの向上

コールセンターの競争力の源泉は「顧客ロイヤリティ」です。DX投資は究極のところ顧客ロイヤリティを向上させ、優良なお客様との接点を多く持ち、本音を聞き出し、継続的にお付き合いして頂くことに尽きます。これを従来のデジタル化のみで達成することは困難です。むしろアナログ的な下記が重要です。

  1. お客様のパーソナルキャラクター(性格、人格タイプ)を知る
  2. そのパーソナルキャラクターと相性が良いオペレーターと会話させる。
  3. 会話中のお客様の感情変化を認識し、オペレーターに適切な会話進行シナリオの指示を与える。
  4. 会話終了後のお客様にフォローアップをこまめに行う。

 

これらを、音声感情解析テクノロジーを使って新人オペレーターでも対応可能にするように支援することが当社の提供するシステムの特長です。

 

パーソナルキャラクターを知る

顧客ロイヤリティを向上させる基礎は顧客と対応するオペレーターのパーソナルキャラクターを知る事です。これはギリシャ時代の昔からニーズがあったようで医学の父と言われるヒポクラテスの性格分類(直接的で目標指向、おちつきがありリラックス、冒険的で楽しみ嗜好、控えめで分析的)は有名です。

現代の心理学でもいろいろな理論がありますが、実用的には次の理論がパーソナルキャラクターを分類する為に使われることが多いようです。

 

  • ソーシャル・スタイル(SS)理論

1968年にアメリカの産業心理学者であるデビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーションの理論です。人の言動を感情の表出の程度と意見の主張の程度により下記の4つに分けて分析する理論です。

 

お客様を4つのタイプに分類し、タイプに応じて適切な対応方法をアドバイスすることに用いられています。詳しくは次回のブログで解説します。

 

 

  • DiSC理論

アメリカの心理学者ウィリアム・モルトン・マーストン博士(1893~1943)が1928年に発表した論文『Emotions of normal people』で、人間の行動を4象限に分類した理論がDiSC理論です。博士の没後に多くの心理学者により検証され欧米を中心に最も活用されている理論の1つと言われています。人の行動パターンを、活動的か思慮的か、客観的か同調的かをもとに下記の4つに分類しています。

お客様を4つのタイプに分類してSS理論を使うのと同じようにタイプに応じた適切な対応方法をアドバイスしています。この理論も詳しくは次回のブログで紹介します。

 

  • MBTI(Myers–Briggs Type Indicator、マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標)

1962年にアメリカ人のキャサリン・クック・ブリッグスと娘のイザベル・ブリッグス・マイヤーズによって表された個人の心理学的選好のタイプを表す16個の指標です。心理学者の間でも評価が分かれており、ビジネスの世界での人事管理にはあまり用いられていないようです。

 

音声感情解析とパーソナルキャラクターとの関係

当社が提供する音声感情解析ソフトESASでは、話者の声を人の主観を交えずに自動的に解析して次の4つに分類することが可能です。音声感情解析によるパーソナルキャラクター推定の長所はその即時性です。発声者の音声をソフトウエアで解析しながらほぼリアルタイムにパーソナルキャラクターを知ることができます。これは他の手法とは大きく異なるところです。

 尚、当社のパートナー様の株式会社eVoice様はこの性格分類をさらに細かく36種類に分類するソフトを開発され、2名の性格情報から2人の相性の良さ悪さを推定するソリューションを提供されています。

 

 

音声感情解析とパーソナルキャラクター理論との関係

人事管理や営業活動で、お客様をはじめとするステークホールダーのパーソナルキャラクターを認識し、そのタイプによりコミュニケーションのやり方を変えることは、ビジネスの成否に大きく関わります。SS理論やDiSC理論はその為にビジネスの世界で活用されていて、その実証研究が多くなされています。

一方、音声感情解析によるキャラクター判定は即時性こそ優れていますが、従来から企業内ノウハウとして詳細に研究されてきたSS理論やDiSC理論の緻密さには及びません。特にコールセンターで使うには即時性と緻密性の両方が求められます。そこで当社ではいくつかのお客様と連携して、この両者の相関関係を詳細に調査分析しています。この活動は現在進行形であり、また企業秘密を多く含んでいる為にまだ結果を述べる状況ではありませんが、もし、ご興味があるお客様がいらっしゃいましたら個別にお話しさせて頂きたいと思っておりますので、当社にお問合せ下さい。

 

以上

 


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