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コールセンターで働くオペレーターの離職意思の早期発見とフォローアップ
2022.04.18
コールセンター
30 コールセンターで働くオペレーターの離職意思の早期発見とフォローアップ
昨今、コールセンターの課題の一つとしてオペレーターの離職防止マネジメントなどが取り上げられるようになってきました。離職率を下げるソリューションやノウハウを解説する記事も多く見られます。ここでは、人間の抱く感情の観点から離職意思の早い段階での発見とそのフォローアップの方法をお伝えします。
過去に掲載の「20感情分析(解析)によるコールセンターオペレーターの離職防止」のブログでは音声感情解析システムを用いて、オペレーターの離職意思の兆候を検出する方法を解説しました。ここではその続編として離職懸念者を特定した後の、感情解析システムを用いたフォローアップ方法をご紹介します。
ブログ20で詳細な説明をしていますが、オペレーターが仕事中につらいと感じている部分(painful index P値)をESASの出力データを使ってオペレーターのP値の平均値を割り出しその変化を観測して、一定値よりも高い値が続いたり、急激な変化が見られたオペレーターを離職懸念者としてピックアップします。
数十席規模の小さなコールセンターであれば、P値を観測するまでもなく、管理者の経験と勘で離職懸念者を見つける事ができると思われますが、100席を超える中~大規模のコールセンターでは何らかのシステムを導入しないと離職懸念者を見つける事は困難となります。
離職懸念者へのフォローアップ
オペレーターが離職を考える原因を探る必要がありますが、人の心は複雑で離職懸念がある人を面接して原因を聞き出そうとしても本音を聞き出すことが難しい時があります。多くの場合、管理者がヒアリングをすると「大丈夫、頑張ります。ご心配ありがとうございます。」と言った反応を示します。その為管理者が少し様子見をしていると、ある日、突然「申し訳ありません、辞めさせて下さい。」と退職を申し出るケースが多いようです。一般的に退職理由には下記があります。
- 給与や労働条件などへの不満
- 家庭の事情
- 将来に対する不安
- 職場の人間関係
これらのはっきりした原因で退職を申し出る人々に対しては、個別の面接で改善を模索し、退職を思いとどまってもらうことがある程度可能です。しかし、「仕事内容が肌に合わない」とか「なんだかつらい」言った漠然とした原因で退職を申し出る人に対してはなかなか有効な手を打つことが出来ないのが実情です。
感情タイプ
そこで、オペレーターの感情タイプを知りその感情タイプに向いている仕事を割り当てることにより「仕事内容が肌に合わない」とか「なんだかつらい」言う漠然とした理由で退職を考えているオペレーターの数を減少させる方法を紹介したいと思います。
オペレーターには各人それぞれのタイプによるお客様対応があります。まず、このタイプをオペレーター毎に特定します。そしてタイプ別にフォローアップの方法を変えます。 ESAS感情解析システムではEmo/Cog Ratio(感情/論理の比率)と言うデータを取ることが可能で、これは話者が「感情を込めて話しているか」もしくは「論理的に話しているか」の割合を示す指標です。この値が大きいオペレーターは「感情タイプ」、小さいオペレーターは「論理タイプ」と分類します。前者はお客様との対応で「共感しよう」と言う気持ちが強い人、後者はお客様の課題を「解決しよう」と言う気持ちが強い人です。業務内容とタイプを調べるとアップセル業務の成績上位者は圧倒的に「感情タイプ」、解約阻止業務の成績上位者は圧倒的に「論理タイプ」が多いことが解りました。当社のグループ会社でコールセンターを運営しているCENTRIC社では離職懸念者を見つけ出すと、まずその人の仕事内容とタイプが合っているのかの調査を行います。もし、論理タイプにも拘わらずアップセル業務につかせているなら、タイプ不一致によりP値の高まりを招いている可能性が高いので、業務配置の変更を行います。これによりP値を下げ、離職を思いとどまってもらうようにします。
これを発展させてオペレーターとお客様の感情タイプを声から瞬時に判定し、自社のオペレーターに相性の良いお客様を繋げて対応させる試みもあります。当社のパートナーであるeVOICE株式会社様が提供しているeVPAJ(イーブイパッジ)と言う製品では相性マッチングを行う際に感情解析システムを利用しています。
オペレーターの心の安定
オペレーターの方に離職を思いとどまってもらう為にもう一つ重要なのが心の安定です。人の心理として周囲が自分を守ってくれていると思うと心の安定が高まりますが、逆に孤独感を感じると心が安定せず離職意志が強くなります。これは特定のオペレーター個人の感情と言うよりは職場全体で互いに助け合うような雰囲気があるかどうかにかかわります。ですので職場がそのような雰囲気になっているかどうかを管理者が把握する必要があります。以前なら、まさに勘と経験に頼るしか方法はありませんでしたが、ESジャパンの感情解析システムESASであれば、職場がギスギスとしていないか客観的に数値で分かります。
職場の雰囲気の把握
ESASから出力される感情パラメータに「雰囲気」(Atmosphere)と言う項目があります。これは大きなくくりで会話の性質がポジティブなのか、ネガティブなのか、を測定する為のパラメータです。
まとめまた「一般的なムード」(General Mood)と言うパラメータもあり、これは会話全体がポジティブな感情を含んでいるのかネガティブな感情なのかを測定するパタメーターです。これらは、Energyというパラメータが高いとの指標が出ても、それがポジティブな意味の興奮かネガティブな意味での怒りや感情の昂ぶりなのか、その性質を見極める為の補助指標として使われるパラメータですが、筆者は職場がギスギスしていないか測定することに応用できるのでは無いかと考えています。複数のオペレーターの「雰囲気」や「一般的ムード」を時系列的に測定して統計処理を施せば、かなりの確率で職場の状況を数値化できると思われます。
音声感情解析を用いれば、「仕事内容が肌に合わない」とか「なんかだかつらい」と言った漠然とした原因で退職を申し出る人に対しても離職意志持つ前に察知して対策を打つことが可能になります。また、退職懸念者個人の感情だけを解析するのではなく、職場全員のポジティブ感情とネガティブ感情を解析することにより職場全体の雰囲気を管理者が認識して改善を促すきっかけを与えることが可能になります。
以上
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