BLOG

音声活用ブログ

顧客満足(CS)を高める為のお客様の声(Voice of Customer :VOC)を聴く

2021.06.14

マーケット

テーマ:

16 お客様の声(Voice of Customer)と感情解析(分析)

 ビジネスを成功に導くための必須条件は商品やサービスを絶え間なく改善し、顧客満足(CS)を高めることであると言われます。この為にはお客様の声(Voice of Customer :VOC)を聴くことが大切です。お客様の声は面談時のお客様の態度や表情、要望、苦情及び感謝の手紙やメール、SNSでのつぶやき、コールセンターやお客様問合せセンターへの電話などで得られます。しかし最終的にはお客様の心の内を知ることが重要となります。人の心の内は通常は直接的に知ることはできませんが、お客様の音声を入力源としてさまざまな感情の程度を数値化して知り、心の内を推定することができます。このブログでは音声から心の内を知るためにはどのようにすれば良いのかについて筆者の見解を述べさせて頂こうと思います

 一般的な企業収入の大半はお客様から頂くお金です。お客様が企業の提供する商品やサービスに満足し、じぶんにとって大切なお金をその企業に払っても良いと思ってくれなければ企業は成り立ちません。ビジネスで一番大切な事は顧客満足(CS: Customer Satisfaction)であると筆者は常日頃から思っています。通常、企業では顧客満足の程度を知るために相当の努力を払っています。その手法はいろいろありますがNPS(Net Promotion Score)と言う顧客がその企業を他の人に推薦する程度を調べる手法、CSATと言う「満足」「普通」「不満」を星の数で表す方法、個別の聞き取り調査が主な手段です。

 筆者自身も、企業経営の一部を任されていた時には、CS調査レポートがCS関連部門から定期的に報告されていました。悪い評価項目に対しては改善策を立案して実行し、良い評価を頂いた項目に対しては、その評価を吟味して表面上の良評価か真の意味での良評価かを議論して、次にも良評価を頂けるような行動目標を設定して実行するようにしていました。

しかし、当時のCS調査では、お客様がその企業の商品やサービスに対してどのような感じ方をしているのかが直接的にはわからず、筆者は常に歯がゆい思いをしていました。NPSやCSATの値、聞き取り調査での代表的評価や意見が示されるのですが、これらの値や意見が本当にCSの程度を反映しているのかには少なからず疑問を感じていたのも事実です。

上述した課題に対応するためか、最近はNPSやCSATなどに加えてお客様の声VOC(Voice Of Customer)を収集して分析し、CSの程度を把握する方法が注目を浴びて来ています。VOCをキーワードにして検索エンジンを探るとVOC分析サービスを提供しているコンサルティングファームやサービス提供会社の記事や宣伝がたくさんあります。コールセンターでのお客様の実際の声やSNS上でのその企業に対する意見や評価をAIで収集分析するソフトも市販されています。

 米国の詩人で公民権活動家でもあったマヤ・アンジェロウ(Maya Angelou:1928-2014)は次のように発言したことがあります

「人はあなたが言ったことはやがて忘れてしまう、人はあなたがやったことも忘れてしまう、しかし人はあなたが感じさせたことは決して忘れない。」

 これはまさに言いえて妙です。感じたことは感情として長く記憶に残ります。「あの会社に電話したが冷たくあしらわれたしまった。もうあの会社とは付き合わない!」とか「あの営業マンの対応はすばらしかった。次回も一緒に仕事しよう!」など、お客様が感じた事はその人の心に刻まれその企業に対する悪感情や良感情が頭に残ります。CSを測定するなら、お客様が感じた感情を可視化して示すことが大切でしょう。VOC分析を用いて、直接的にお客様が商品やサービスに感じていること、すなわちお客様の心の内がわかるようになることが理想的でしょう。

 筆者が企業の現役管理者だった10年前にはお客様の感情を可視化して示すようなシステムは一般的ではなく、筆者もそのようなシステムの存在を知りませんでした。しかし現在では音声から発言者のさまざまな感情を可視化するシステムがあるのでこれを利用し正にVOCを聴き、CS向上に役立てるようにすべきであろうと思います。現在の企業管理者の方々は、お客様が何を言ったか、何をしたか、だけに注目するのでは無く、お客様がどのように感じたかに注意を払うべきでしょう。筆者のような管理者OB からみると可視化システムの整っている現代の企業管理者を羨ましく感じます。現役管理者の皆様は是非お客様の感情を可視化してCS向上に役立てて頂きたいと思います。

 実務的な問題としては、現在市販されている複数の感情可視化(感情解析)システムの中から具体的にどれを選ぶべきかが重要となります。システム選定にあたっては多角的に評価項目を列挙し、その一つ一つを吟味し、あらかじめ決めた評価基準に従って点数付けを行い、複数の候補の中から最も高得点のシステムを選ぶのが一般的だと思います。感情可視化システムを選定する時もこの手法は変わりません。但し、感情可視化システムに関しては次の2点が重要です。

   ① 感情解析の経験値の高い商品・サービス

   ② 実際に使用した経験が生かされた商品・サービス

 人の感情は漠然としています。なんとなくこんな気持ち、あんな気持ちを感じ、自分自身でも自分の感情を表現することが困難な場合もあります。まして1とか2とかの数字ではっきりと言うことは困難でしょう。そんなもやもやとした気持ちを、経験から導かれ改善され続けてきたアルゴリズムと集積された過去のデータに基づき可視化するのが感情解析システムの役目です。自分の気持ちは自分自身ではもやもやとして良くわからなくても感情解析システムはそれを可視化します。従って、感情解析システムは経験値の高さが必要です。ESジャパンでは、この分野で20年上の経験を持ち、膨大な感情データを収集し続け、アルゴリズムを改善し続けてきた、この分野でのパイオニアであるイスラエルのNemesysco社と提携し、同社からOEM供給を受けて、それを核にして自社で日本語環境に合ったソフトウエアにチューニングしてESASシリーズとして販売しています。

 感情解析の核となるソフトウエアは経験値の高いソフトウエアなのですが実際の現場で使用した経験が生かされている必要があります。ESジャパン社の親会社CENTRICはコールセンターを大規模に運営しています。同社では感情解析研究室を設立し、ここでESジャパンの感情解析システムを実際に使って、現場の意見を取り入れ、システムを改善し、ESジャパン社にフィードバックしています。このフィードバックをとりいれて、日本語環境で最適な感情解析システムを提供しています。

 ESジャパンでは、将来、お客様の心の内がわかるようになるようなシステムを検討しています。そのうちのひとつとしてAR(拡張現実)メガネと感情解析ソフトを連動させ、面談相手のVOCを可視化させることです。技術的には可能ですが、適応場面の倫理性や、市場性、ビジネスとしての採算性など検討すべき項目があり、実現には至っていませんが引き続き検討を続けるつもりです。

以上

WRITER

都筑 一雄

都筑 一雄

ESジャパン株式会社
エグゼクティブアドバイザー

慶応義塾大学及び東北大学大学院で物理学専攻。修士課程修了後、日本電気(NEC)に36年間勤務。製品開発、システム構築、事業部運営、欧州合弁会社立上げ等、役割は変化したが一貫して音声関連の通信事業に関与。NEC退職後は滋賀県彦根市役所の行政情報化担当特別顧問を5年間務め、退任後、ESジャパン株式会社の設立発起人として創業に関与し現在に至る。