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22 経営者発言の信ぴょう性を音声感情分析(解析)でチェックする|音声活用ブログ

2021.09.16

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22 経営者発言の信ぴょう性を音声感情分析(解析)でチェックする

コロナによる景気の悪化やビジネスモデルの急激な変化により企業環境は大きく変化しています。このような時には企業業績を粉飾し、不正な会計操作をする企業が残念ながら少なからず出て来ます。過去にはライブドアのような新興IT企業やオリンパス、カネボウ、東芝のような超大企業も粉飾に手を染めています。財務諸表を見ただけでは必ずしも見抜くことが出来ず、著名な会計事務所も見逃してしまうことがあります。企業が発表する経営者発言や会計数字を信じて、退職金でその企業に投資し、粉飾が発覚して株が暴落し老後の資金を失ってしまい路頭に迷う人も出ています。このような事態を避ける為に、経営者発言の信ぴょう性を音声感情解析でチェックしてはどうかと提案したいと思います。以下にその提案を述べたいと思います。

また、経営者の方々に取っては自らの発言がどのような印象を聞き手に与えるかを発言内容ではなく、発声の調子で事前にチェック出来ますので、企業にとっても有効な手法と思います。

 当社の提携先であるイスラエルのネメシスコ社のCEOであるアミール・リバーマン氏のインタビューを前回のブログで紹介しました。その中で、ネメシスコ社の創業時、自爆テロを事前に検知する為にイスラエルへの入国審査の時に入国者に「自爆攻撃をするつもりですか」と尋ねてその答えが嘘かどうかをすぐに見分けられる嘘発見器を作ることでしたと述べています。そ、の後、嘘発見器なるものは無いと言うことに気づきますが、被験者の発言に嘘や動揺が含まれているリスクを数値で表すシステムが開発され、各国の警察や情報機関で使われています。このシステムは取り調べや尋問で用いる特殊システムで非常に高価なシステムです。

 しかしながら、最近InToneと呼ばれるシステムが開発され、当社でもESAS InToneとして販売することになっています。このシステムでは上述の特殊システムの一部の機能を市販化し、話者の発言の信ぴょう性に関する情報がリアルタイムに表示されるようになっています。例えば下記の情報です。

  Suspected                  信憑性に疑いの余地がある反応

  Inaccuracy                 発言が正確ではない(事実と異なる)可能性を示唆

  Subject Not Sure  話者自身が確信を得ていない、または会話の内容や状況を上手く整理/解釈できていない

 このような情報が画面に時系列的に表れ、話者の信ぴょう性をある程度推定できます。 InToneは間もなく正式版としてリリースする予定です。正式リリースの暁には詳しい説明を当社のホームページに掲載予定ですので、それまでしばらくお待ちください。またこのブログをお読みになってInToneにご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、ご遠慮なく当社にお問い合わせください。お客様企業の要件に合わせて表示内容を変えるなどチューニングすることも可能です。
 下図はInToneの表示画面の一例です。発言者の信ぴょう性などを時系列的にメッセージとして表示すると共に、発言時に注目すべき感情をハイライトして示すことができます。当社では現在このInToneシステムのベータ版を用いて、いくつかの試験的なプロジェクトで試行的に使っています。例えば、ある経営者の方の人材の活かし方に関する発言「多様性で色々な人を採用しなくてはいけない、そういう人のアイデアとか知能を活かせるようにならないとダメだなと」をこのシステムで解析したところ、発言に対して「HONEST」と表示され、さらに注目すべき感情として『Stressed』/『Sad』に反応あり、現状を憂いている事が表示されました。また、ある政治家の方の発言をInToneシステムにかけてみると発言のところどころに「Subject Not Sure」(発言が不確か)のメッセージが表れ、話の信ぴょう性に疑いが持たれました。

筆者はこのシステムのデモを見た時に、経営者がIRメッセージ(投資家や利害関係者に対する発言)を出す時にこのシステムを適応して、経営者発言の信ぴょう性をチェックすれば、粉飾決算や不正会計などの企業不祥事を事前にある程度チェックできるのではないかと思いました。また、最近のニュースで、国税庁がAIを導入し、社長の声で脱税看破と言うのがありました。声による信ぴょう性の判定が世間に広まるきっかけになるかも知れません。将来的には会計法人が監査報告書を公表する時には、経営者発言の信ぴょう性報告書も合わせて提出する時代が来ることを願っています。

また、情報を発信しなければならない企業にとっても、経営者の発言の発声の調子がどのような印象を聞き手に与えるかを事前にチェック出来ますので、企業にとっても有効な手法と思います。

以上 

WRITER

都筑 一雄

都筑 一雄

ESジャパン株式会社
エグゼクティブアドバイザー

慶応義塾大学及び東北大学大学院で物理学専攻。修士課程修了後、日本電気(NEC)に36年間勤務。製品開発、システム構築、事業部運営、欧州合弁会社立上げ等、役割は変化したが一貫して音声関連の通信事業に関与。NEC退職後は滋賀県彦根市役所の行政情報化担当特別顧問を5年間務め、退任後、ESジャパン株式会社の設立発起人として創業に関与し現在に至る。